各コンタクトポイントが
狙った体験を提供できたか知りたい


 消費者行動図鑑は、消費者が様々なコンタクトポイントでどのような体験を得ていたかを分析し、各コンタクトポイントが狙った消費者体験を引き起こせていたかを、消費者行動分析の視点から紐解きます。以下の例では、コンタクトポイントエクスペリエンスレポートを用いて、各コンタクトポイントが狙った消費者体験を与え、クロスメディアの導線を張れていたかを分析します。

「クロスメディアの広告・プロモーション施策を実施したのですが、各コンタクトポイント個別で見た場合に、それぞれが狙い通り機能していたのか、意図した体験をしてもらえたのか、評価することはできますか?」

「"各コンタクトポイントが狙った消費者体験"と、"消費者が複数のコンタクトポイントを通して得た体験"の両方の視点で、コミュニケーション施策がもたらした消費者体験を評価しましょう。」


【分析の背景と概要】

 近年のコミュニケーションプランニングはクロスメディアで行われることが多く、複数のコンタクトポイントを用いて一貫した消費者体験を提供できるように設計されています。消費者行動図鑑のカスタマージャーニーレポートのように、消費者体験を「カスタマージャーニーマップ」のように体験のストーリーを軸に理解する試みも近年益々重要視される傾向があります。

 その一方で、実際にコミュニケーションを設計する際にはプランニング全体を統括するマネージャーの下には、コンタクトポイントごとに担当者が割り振られている現状もあります。つまり、消費者体験でクロスメディアを一貫させることが重要視される一方で、現場ではコンタクトポイントごとに詳細な計画を立て、実施する体制であり、消費者一貫した体験の評価と同時に、コンタクトポイントごとに目標とした消費者体験を与えられていたかを評価する必要があると言えます。

 そこで、コンタクトポイントエクスペリエンスレポートでは、消費者個人の体験を軸にして"水平に見る"読み方と、コンタクトポイントを軸にして"垂直に見る"読み方の両方を提供し、現場視点でのレポート解釈を可能としています。

アウトプットの読み方



 上図のレポートサンプルでは、化粧水を購入した人の回答の代表例を掲載しています。レポートではTVCM、WEBサイト、口コミ、店頭の4つのコンタクトポイントごとにまとめており、表上部では各コンタクトポイントの接触者が集計されています。ここではまず、「TVCM」に注目してみます。TVCMは全体の34%が接触しており、CMのモデルに好意を持たれていることが読み取れます。次に、表下部のコンタクトポイント間の送客効果を見ると、TVCMからは特に「WEB」への送客効果が高いことが読み取れます。ここで次に二行目の「女性(30)」をTVCMからWEBへ読み進めると、「成分名でこの商品を検索して見た」とあり、CMの新成分紹介がWEBへの流入を引き起こしていたことが読み取れます。

 以上の内容をまとめると、TVCMはCMモデルによって好意と記憶を引き起こすとともに、WEBへの送客の効果もあったことが確認できます。さらにこれを消費者行動分析の視点で読み進めると、TVCMのモデルが消費者の態度の「中心的好意」を形成できており、TVCMのクリエイティブが消費者の好意形成を起こせていたと考えられる。加えて、新成分をTVCMで提示することが「機能的ベネフィット」を期待させる結果となっており、WEB含め他のコンタクトポイントへの送客も起こせている結果となっていると読み取れます。この結果から、TVCM自体がもたらした体験により好意形成が成され、さらにTVCMでの体験からWEBや店頭へと送客を生み出し、購買へ至らせるクロスメディアの体験の中でも、好意形成と送客の機能を果たしていたと評価できます。

 以上のように、コンタクトポイントエクスペリエンスレポートを用いることで、コンタクトポイント自体がもたらした消費者体験の分析と、消費者がクロスメディアコミュニケーションの中で体験した、コンタクトポイント横断の消費者体験の分析の両方を実現することができます。