消費者の行動導線から、
KGIに繋がるKPIを見つけたい。


 消費者行動図鑑は、消費者が製品を選ぶ(KGI)に至る過程を分析することができます。KGIに至る鍵となる変数、「KPI」を消費者行動プロセスの中から見つけることができます。以下の例では、カスタマージャーニーレポートとドライバーレポートを使用し、ゴールに至るKPIの消費者文脈上の意味と、KPIの定量的な効果の高さを確認します。

「自社商品の購買を説明するKPIの設定に悩んでいます。よく「関心」や「興味」をKPIにしがちですが、抽象的で消費者の行動に沿っているか疑問です。どのように考えれば良いでしょうか?」

「消費者行動上のKPIとなりうる変数の仮説を多く集め、KPIの候補を複数挙げた後に、定量的にKPIがKGIに及ぼす影響の強さを検証し、消費者行動の文脈に即したKPIを作成しましょう。」


【分析の背景と概要】

 一般的に「購買」等はKGI(Key Goal Indicator)とされ成果を示し、成果に至る過程の先行指標(関心・購買意向・お問い合わせ 等)について、KPI(Key Performance Indicator)と呼称します。つまり、KPIはKGIの先行指標として扱えることが前提としてあり、「KPIを上げれば、KGIが上がる」関係である必要があります。ですが、経験則的に設定したKPIや、AIDMA等の既成の行動モデルをそのまま当てはめて設定したKPIでは、KPIが上がることが、KGIにどれだけ寄与するかが不明瞭なまま、間違ったKPIを設定している可能性も考えられます。また、「資料請求(KPI)の10%が契約(KGI)する」のように、KGIとKPIの関係を正しく把握できていた場合でも、今度は「資料請求してもらうには、誰に何をすれば良い?」という課題が残されたままです。

 消費者行動図鑑では、KPIの消費者行動文脈上の意味を含めて設定でき、かつKPIとKGIの定量的な関係も明らかにします。カスタマージャーニーレポートを利用することで、KPIがどのような消費者の行動プロセスが根拠となって設定されているかを踏まえ、KPIの候補を複数設定します。そして、設定したKPIがKGIを向上する効果があるか、どの程度の効果が見込めるかをドライバーレポートを用いて定量的に検証し、質と量の両面を抑えたKPIを設定することができます。

<STEP1>
KPIで説明したいKGIを決定する。

 まずは設定したいKPIが、どんなKGIを説明する為のものであるかを決定する必要があります。例えば、「購買」や「ファン化」等、マーケティングの結果を測定する指標をKGIと設定します。消費者行動図鑑のカスタマージャーニーレポートは、調査実施前にKGIを決定した上で実施する為、調査実施前に注目したいKGIを決定することで、KGIに至る消費者の評価基準やコンテクストを抽出することができます。

<STEP2>
カスタマージャーニーレポートを作成しKPI候補を見つける。



 調査により作成したカスタマージャーニーレポートから、消費者がKGIに至る過程で商品を比較・検討する判断基準がなんであるかを読み取れます。この項目が消費者コンテクストからKGIへ至る過程における、KPIの候補と考えられます。

<STEP3>
KPI候補のKGIへの影響力を定量的に確認する。

 STEP2のカスタマージャーニーレポートで抽出したKPI候補項目を用いて、再度アンケート調査を実施し、ドライバーレポートを作成します。



 ドライバーレポートでは定量的に購入に影響が高い項目を導き出し、KGIに至る消費者行動の最も影響の強い「成功パターン」を導き出せるので、KPI候補項目の中から定量的に影響が強いと言える項目をKPIとして設定できます。