消費者行動を文脈から理解する
「カスタマージャーニーレポート」

 「カスタマージャーニーレポート」は、特定の商品の消費者行動の背景・文脈を、消費者自身の言葉で記述し、インフォグラフィクスとしてまとめたレポートです。商品選択や情報接触がどのような状況で行われたか、消費者一人ひとりのコンテクストから読み解き、マーケティング企画の立案や分析モデルの仮説構築に活用できます。

消費者プロファイルと、
購買に至るコンテクストをインフォグラフィクスから読み解く。

 カスタマージャーニーレポートは、対話形式のインターネットアンケートシステムと、1サンプルで実行できる因果関係分析手法を用いる事で、アンケート回答者自身の言葉で記述された購買行動を、行動開始から商品購入に至るまでの行動プロセスに沿って表現しています。レポート中央の図の左側が消費者のコンテクストを表現した項目で、中央から右にかけ、商品選択時の評価基準となった視点が並び、右端には消費者行動のゴール(図では購買)が並んでいます。



 グラフの各項目には「-2.02」等の数値が記載されており、この数値が高いほど項目が消費者行動の中でも因果の「原因」側にあり、数値が低いほど「結果」側にあると解釈出来ます。(図中ではレポートのみやすさを重視している為、各項目の横位置を厳密にプロットしていません。)

【グラフ各項目の読み方】

 各項目の読み方は、以下の例をご覧ください。中央に書かれているのが、回答者が記述した回答です。左には関連する情報源、右には回答に関連する気持ちや態度が記されています。



 項目と項目を繋ぐパスは、消費者にとって関連の強い項目間に引かれています。パス上に記載された係数は関連の強さを示しており、0から1の値を取ります。係数は回答者が商品を購買するまでの行動プロセスの中で、相対的に関係が強い項目の数値が高くなります。上記の例の場合、「動画がきれい」であることは「今後も使い続けたい」ことの係数は0.32と相対的に高いため、その消費者の購買行動全体のうち、結びつきの強い要因であると言えます。係数の大きさについては、消費者行動図鑑のカスタマージャーニーレポートでは、係数が0.3以上あれば相対的に結びつきが強いと読める場合多く見られます。

【回答者プロファイル】

 レポート下部には回答者が商品選択時に重視した要素の比率や、プロフィールを掲載しています。カスタマージャーニーレポートの消費者行動プロセスを読む際に併せて、消費者背景情報を読むことで、「どのような価値観・考え方・生活文脈の消費者が」「どのような購買行動を起こしたか」のストーリーとして、消費者行動を理解することができます。






「買わなかった」を表現する、カスタマージャーニーレポート


 カスタマージャーニーレポートは、「買った」「ファンになった」のようなKGIの達成だけではなく、「買わなかった」「嫌いになった」のように、非購買や拒絶・離反等、消費者がゴールを達成しなかったプロセスを可視化することも可能です。



 上の図では、ある「ドライヤー」が消費者に買われなかった過程をレポートに表現しています。この商品は「ドライヤーの音でテレビの音が聞こえなかった」という過去の経験があったため、対象商品は「思ったより音が静かではない」と評価し、結局は競合の商品を選ぶに至った、と読み解けます。このように、自社商品が買われない理由を消費者行動と文脈から理解したい場合にも、消費者行動図鑑のカスタマージャーニーレポートを活用できます。



ネットアンケートで大量に作成、カスタマージャーニーレポート


 以上のカスタマージャーニーレポートは、1回のウェブアンケートで100名の回答を回収すれば、100人分それぞれのカスタマージャーニーレポートを作ることができます。これは、カスタマージャーニーレポートは特殊な調査・分析手法を用いることで、回答者1名1名が記述したテキストの因果関係をパス図で示し、関係の強さを算出する技術を用いることで、実現しています。また、特殊なスクリーニング方法を用いる事で、回答するテキストの量・質を高めるロジックを採用しています。